いくら避妊に気をつけたとしても、絶対ということはありません。
もし、望まない妊娠をしてしまった場合には、子どもを産まない「人工妊娠中絶」という選択肢があります。これは、母体保護法という法律で守られている女性の権利。
実際、既婚女性の78%がコンドームを避妊法として採用しながらも、4人に1人に中絶経験があるというデータがあります(毎日新聞調査)。中絶を選んだ理由は、「自分が未成年で育てる力がない」「学校を卒業したい」「性的暴行を受けて妊娠したから」など人それぞれ。複雑なケースもたくさんあります。
もし、中絶を考えた時、一番大切なのは自分の意思で決断することです。産むにせよ、産まないにせよ、間違っても、納得しないままに進めることはやめましょう。「私は親になれる?」「今産んだら将来はどうなる?」「家族にどんな影響があるだろう」など、最後は自分が納得のいくまで考え、判断してください。また、産むことも産まないことも、あなたの自由です。中絶は決して罪ではありません。女性としてあなたの権利なのです。自分で決断しましょう。
きっと、妊娠がわかった時にはさまざまな感情が渦巻き、いろいろな考えや思いが交錯すると思います。女性の人生において、妊娠はビッグイベントです。家族や友人、パートナーなど信頼できる人にサポートを頼むのもいいですし、偏りのない情報を得ていきましょう。また、産婦人科の先生に相談したり、ホットライン(思春期・FPホットライン03-3235-2638)などを活用することも、あなたの助けになります。
また、中絶の手術が受けられるのは、妊娠22週未満までとなります。 また、妊娠初期(12週未満)とそれ以降(12週〜22週未満)の場合で、手術方法が異なります。
初期の場合は、子宮の内容をかきだす方法(掻爬法)か、機械で吸い出す方法(吸引法)が行われます。通常は10〜15分程度の手術で終わり、痛みや出血も少ないので、問題がなければその日に帰宅できます。来るはずの月経が2回来なかった時には、すでに8週目くらいになっているため、初期中絶を決めるまでの時間が2週間もないことになります。ちなみに妊娠期間は、最終月経開始日から始まり、この日を「0週0日」と数えます。
一方、12週〜22週未満の場合は、子宮口を開く処置を行った後に子宮収縮剤で人工的に陣痛を起こし、流産をさせる方法を行います。個人差はあるものの、大事をとって、数日間入院することもあります。また、死産届けを提出し、胎児の埋葬許可証をもらうことが必要になります。
中絶手術は、健康保険が適応されません。妊娠週数が進むにつれ経済的、身体的にも負担が大きくなります。なるべく早く決断をするほうが、いろいろな負担が少なくすみます。
日本での中絶手術は、母体保護法によって定められた「母体保護法指定医」が行っています。 手術を受けるのであれば、各都道府県の医師会が指定した母体保護法指定医のいる病院を調べてから行きましょう。また、婚姻関係がある女性は、相手の同意書が必要です。18歳未満の場合、保護者のサインも必要になります。ただし、強姦など同意のないセックスによる妊娠や、相手がわからないなどのケースは法律に則って手術ができますので相談してください。