中絶の具体的なこと

産まない選択
〜中絶を考えたら、決意したら。〜

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女性が妊娠をした時には、産まないという選択があります。妊娠を中断することを人工妊娠中絶といいます。体へのダメージを考えれば、しっかりと避妊をしてできるだけ避けたほうがいいですが、行う場合は、信頼できる病院で、できるだけ初期に行うのが大切です。2018年度の人工妊娠中絶実施件数は16万1741件です(厚生労働省が発表した人口動態統計より)。

母体保護法では、人工妊娠中絶手術をする時に、婚姻関係にある場合は夫の承諾が必要になります。ただし、性暴力による妊娠の場合は、たとえ相手が配偶者であっても、本人の同意のみで手術を受けることができます。 また、未婚の場合は本人の同意があれば受けることができます。ただ、本人のみの承諾書で手術を行い、パートナーと病院がトラブルになるケースも起こっています。そのため、実地臨床では多くの場合、パートナーの承諾を得ています。

病院の初診では、まず、問診票を書きます。 そこでは、受診理由(「分娩希望」「中絶希望」「産むか悩んでいる」など)、最後の月経について(日にちや周期など)、これまでの妊娠・出産の回数、これまでにかかった病気やアレルギーのこと、タバコやお酒といった生活習慣のことなどを聞かれるケースが多いです。

次に、医師の診察と説明を受けます。 エコー検査で子宮の中に妊娠していることや妊娠週数を調べたり、中絶処置の内容と行う日にちを決めたりします。処置については、麻酔や手術内容、合併症のことなどの説明があるので、気になることや不安なことがあれば、この時になんでも聞いてください。この時に同意書を書く場合もあります(次の受診に持参する場合もあります)。

そして、中絶処置をします。日帰り、または一泊入院をして手術を行います。 まずは、 同意書などの書類を提出した後、着替えや点滴を行います。その後、処置を行います。

妊娠11週6日までに行う妊娠中絶を初期中絶といいます。 WHOが標準中絶法であるとしている吸引法で手術を行う産婦人科も増えてきているものの、日本では、麻酔をかけて機械的に子宮の中から子宮内膜を掻き出す掻爬術がいまだ多いのが現状です。
手術はまず、内診台で、子宮の出口を開く子宮頸管拡張を行います。個人差はあるものの、この時、強い痛みを感じることがあり、痛み止めの薬や麻酔を使うこともあります。次に、手術室で静脈麻酔をし、麻酔がかかったら手術を行います。手術が終わったら2〜3時間休んで帰宅となります。
人工妊娠中絶の費用は、すべて自費となり、初期中絶の場合、約9万〜15万円が目安です。 ほかに診療費や薬剤費、検査費などが別途かかることがあります。

妊娠12週0日を過ぎてから21週6日までに行う妊娠中絶を中期中絶といいます。胎児の大きさなどによって方法は異なり、掻爬術や吸引を行うこともあれば、胎児が大きくなってい れば、薬で陣痛を起こして出産のように胎児を生み下ろす方法が取られます。その場合は、まず、数日間をかけて子宮頸管拡張を行います。子宮の出口が開いたら、子宮を収縮させる腟錠を入れて陣痛を起こした後、分娩を行います。陣痛がすぐにくれば1日で終わりますが、時間がかかることも。分娩後、数日休んで退院します。
妊娠12週〜22週未満の場合は約40万〜60万円が目安です。 ほかに入院費用などが別途かかることがあります。出産育児一時金の対象となるため、健康保険組合から約40万円が医療機関に支払われて費用にあてられるため、必ず医療機関に問い合わせましょう。

先ほども少しあったように、WHOは安全な中絶という手引きで、母体へのダメージが大きい掻爬術ではなく、吸引法や薬剤による中絶に切り替えることを勧めていますが、日本では薬剤による中絶が認められていません。ただ、現在、治験が進行中です。

妊娠は女性一人ではできません。 妊娠、出産、中絶は女性だけの問題ではありません。男性も主体的に取り組んでいくこと、また、女性は産む、産まないという選択をする権利が自分にあることを忘れないことが大切です。 妊娠をしても教育を受ける権利はありますし、学校を辞めなければいけないということもありません。
この手術は女性の権利であり、女性が将来幸せになるための選択肢です。
困ったときは1人で抱え込まず、「にんしんSOS」や「妊娠相談」などで検索してみてください。
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よくある悩み

中絶をすると将来妊娠できなくなる?

母体保護法指定医が行う手術であれば中絶手術は、安全に行われています。手術後は望まない妊娠をふせぐために避妊をしっかり行いましょう。性別にかかわらず、主体的に避妊について知り、避妊する場合は確実に避妊方法を 実行すること、また、パートナーと避妊についてよく話し合うことも大切です。