妊娠をしてもうまく育っていかず、流産、死産を繰り返して赤ちゃんを得られない状態は「不育症」と定義されています。2回以上繰り返すことを「反復流産」、3回以上繰り返すことを「習慣流産」といいます。
一般的に流産は約15%の確率で起こるとされ、妊娠経験のある女性の約38%は1回以上の流産を経験しているという報告があり、決して珍しいことではありません。しかし、流産という経験は、赤ちゃんが欲しい女性にとって、精神的にも肉体的にも辛いことです。たとえ不妊治療が実って念願の子どもを授かっても、万全な状態で妊娠に臨んだとしても、残念ながら流産になってしまうことだってあるのです。
流産の原因の多くは不明であり、そのほとんどが胎児側にあると考えられています。 最高の精子と卵子が受精して妊娠に至ったにも関わらず、そこに載せられた染色体に異常があったり、奇形があってうまく育っていかなかった結果だと考えられるのです。
また、不育症の中には、妊娠22週以降の死産や生後1週間以内の新生児の死亡も含まれます。その原因は、わからないことも多い中で、4つの因子が挙げられます。
その一つが胎盤に血栓が発生する「凝固異常」で、赤ちゃんに栄養が行き届かず、流産や死産を招くものです。2つ目は、子宮の形態異常です。先天的なものと、子宮筋腫などによって起る場合があります。3つ目は、甲状腺疾患など内分泌の異常や加齢による卵子の減少と質の低下によるもの。4つ目は夫婦のどちらか、もしくは両方の染色体異常によるものです。
不育症は原因不明も多い中、適切な検査と治療をすることで、85%が生児を得られるということも明らかになっています。女性の年齢という問題はありますが、赤ちゃんが欲しいという気持ちは諦めずに、早めに専門の医療機関で検査と治療を行ってください。