
「これって誰かに相談するほどのことなのかな?」
「こんなことを話したら、変に思われない?」
「そもそも、誰に話せばいいかわからない」
体や性のこと、恋愛や人間関係、学校生活のこと。何かに悩んだとき、「一人で抱え込まず、誰かに相談しましょう」と言われることがあります。でも、いざ相談しようと思っても、どこへ行けばいいのかわからなかったり、何をどう話せばいいのか迷ったりすることもあるでしょう。
相談するために、悩みをきれいに整理しておく必要はありません。「なんとなくつらい」「これって普通なのかな?」という段階でも大丈夫。まずは自分に合った相談先を探してみましょう。
学校でいちばん身近な「保健室」
体調や体の変化について気になることがあるなら、学校の保健室は身近な相談先のひとつです。保健室にいる養護教諭は、けがや体調不良への対応だけでなく、児童生徒の心身の健康に関する相談や健康管理などにも携わっています。
月経のこと、体の変化、性に関する不安はもちろん、「最近眠れない」「学校に行くのがつらい」「なんとなく調子が悪い」など、心と体のどちらの悩みかわからないときにも、まず話してみることができます。
「相談があります」と構えなくても、「ちょっと聞きたいことがあるんですけど……」から始めてかまいません。
必要に応じて、学校内のほかの先生やスクールカウンセラー、医療機関などにつないでもらえることもあります。
心や人間関係について話したいなら「スクールカウンセラー」
学校には、スクールカウンセラーがいる場合もあります。スクールカウンセラーは、心理について専門的な知識や経験を持ち、子どもたちの心の悩みや困りごとについて相談にのる専門職です。
「友達とうまくいかない」「恋人との関係に悩んでいる」「学校に行くのがつらい」「気持ちが落ち込む」といった悩みはもちろん、「理由はよくわからないけれど、なんとなくつらい」「自分の気持ちをうまく整理できない」というときにも相談することができます。
スクールカウンセラーに相談するために、「大きな問題」が起きている必要はありません。誰かに話すことで自分の気持ちを整理したり、これからどうしたらいいのかを一緒に考えたりすることも、相談のひとつです。
また、スクールカウンセラーは相談室の中で話を聞くだけではありません。日本の学校では、児童生徒との面談に加えて、必要に応じて教員などと連携しながら支援にかかわるなど、幅広い役割を担っています。
では、保健室とスクールカウンセラー、どちらに相談すればいいのでしょうか?
体調や月経など体についての相談なら、まずは保健室へ。気持ちや人間関係などについてじっくり話したいなら、スクールカウンセラーへ、というのがひとつの目安です。
とはいえ、「これは心の問題? 体の問題?」と自分で判断する必要はありません。どちらに相談したらいいかわからなければ、まず話しやすいほうに相談してみましょう。必要に応じて、ほかの先生や専門家、医療機関などにつながるきっかけになることもあります。
スクールカウンセラーは、学校によって来校する曜日や時間、予約方法などが異なります。毎日学校にいるとは限らず、週に1〜2回程度の勤務の場合もあります。「話してみたい」と思ったら、保健室や担任の先生などに「スクールカウンセラーに相談したいのですが、どうすればいいですか?」と聞いてみましょう。
性や体のことなら「ユースクリニック」という選択肢も
「病院に行くほどのことなのかわからない」「性や体のことを、身近な人には話しづらい」。そんなときの相談先として知っておきたいのが「ユースクリニック」です。
ユースクリニックは、若い世代が身体や心、性などについて専門家に相談できる場所です。
例えば東京都では2026年8月下旬から順次、都内20か所の医療機関でユースクリニックをスタート。都内に在住・在学・在勤する25歳未満の人を対象に、医師や看護師などの専門職による個別相談を無料で行っています。
相談できるのは、「生理痛がつらい」「妊娠したかもしれない」「避妊方法が正しいのか不安」といった性や身体についての悩みだけではありません。「自分の見た目が気になる」「家族や友人との人間関係で悩んでいる」など、心や人間関係について相談することもできます。
ユースクリニックは医療機関の中にありますが、相談そのものは診察ではありません。そのため、相談したからといって、いきなり検査を受けることはありません。まず悩みを話し、医療が必要な場合には、そのまま受診につないでもらうことができます。
「受診したほうがいいのかわからない」という段階で相談できるのも、ユースクリニックの特徴です。
相談は無料で、匿名で利用することもできます。相談した内容は原則として本人の同意なく家族や学校の先生などに伝えられることはありません(ただし、身体や命に危険があると判断された場合などには、関係機関と情報が共有されることがあります)。
利用するときは、東京都の「TOKYO YOUTH HEALTHCARE」のサイトからユースクリニックを探し、それぞれの医療機関のホームページで相談できる日時や予約方法を確認してから訪れます。医療機関によって、対象となる年齢や性別、相談できる内容などが異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
「ユースクリニック」という名称の相談先が近くに見つからない場合でも、同じような相談ができる場所が、別の名称で設けられていることがあります。「思春期外来」「ユース外来」「思春期相談」「若者健康相談」「若者相談」「まちの保健室」「性の健康相談」「女性健康支援」などの言葉と、住んでいる市区町村名を組み合わせて検索してみるのもひとつの方法です。
「こんなことで病院に行っていいのかな」と迷ったときに、まず専門家に相談してみる。ユースクリニックは、病院を受診するよりも一歩手前の相談先としても利用できます。
面と向かって話すのが難しいなら、電話やSNSでも
「顔を見ながら話すのは緊張する」という人もいるでしょう。そんなときには、電話やSNSなどで相談できる窓口もあります。
こども家庭庁のウェブサイトでは、いじめ、性被害、心の悩み、妊娠・出産、人権侵害、ネットやSNSのトラブルなど、さまざまな悩みに対応する国や自治体の相談窓口を探すことができます。
文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」は、いじめに限らず、子どものSOS全般について24時間相談できます。
地域や相談内容によっては、LINEなどを使った相談窓口もあります。「話すより文字のほうが気持ちを伝えやすい」という人なら、SNS相談を選ぶのもひとつの方法です。
相談するとき、何を話せばいい?
相談する前に、自分の悩みを全部整理しておく必要はありません。
「何から話せばいいかわからない」
「うまく説明できないんですけど……」
「これが相談するようなことなのかわからないんですが……」
そんな言葉から始めても大丈夫です。話していくうちに、自分が何に困っていたのかが少しずつ見えてくることもあります。
また、一度相談して「なんとなく話しにくかった」と感じたとしても、相談すること自体をあきらめないでください。保健室では話しづらければスクールカウンセラー、対面が苦手ならSNSなど、別の方法や相談先を探してみましょう。
相談先にも相性があります。自分が安心して話せる方法を選んでいいのです。
「相談するほどじゃないかも」と思っているときでも、誰かに話してみることで、必要な情報や支援につながることがあります。
あなたの力になりたいと思っているおとなは必ずいます。そういう信頼できるおとなを普段から探してみましょう。困ったときに「どこへ行けばいいか」を知っておくことは、自分の心と体を守るための大切な方法のひとつです。