「セックスレス」という言葉を聞いたことがあると思います。そもそもセックスレスとは、「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1ヶ月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合」 のことをいい、1994年に日本性科学会が定めたものが基準となっています。セクシュアル・コンタクトとは、キスやペッティングなどが該当します。セックス=挿入では決してありません。
ジェクスによる性の大規模実態調査『ジャパンセックスサーベイ2020』によると、婚姻関係にあるカップルのセックスレスは51.9%であること、つまり夫婦の2組に1組以上がセックスレスということが明らかになりました。海外にくらべてその割合は多く、日本はセックスレス大国といわれて久しいという事実があります。
では、セックスレスは悪いこと、ダメなことなのでしょうか?決して、そんなことはありません。異性間でも同性間でもセックスはコミュニケーションのひとつなので、たとえセックスをしなくてもいい関係性を築くことはできるし、夫婦やカップルだからといってセックスをしなければいけないということもありません。二人が満足していれば、それでいいのです。
ただ、片方だけが「セックスをしなくてもいい」と思っていたり、どちらかがセックスレスであることを悩んだり、不満に思っている場合は、そのままにしないことが大切です。 また、妊娠を望んでいるカップルも解決策が必要です。
セックスレスに悩んだ場合は、まず、セックス以外の二人のコミュニケーションについて考えてみてはどうでしょうか。日々の会話や生活全般で、二人の対等な関係を深めることが、セックスについての会話をしやすくし、ハグなどのスキンシップや、キスやペッティングなどのセクシュアル・コンタクト、およびセックスにつながっていく可能性もあるかもしれません。旅行をするなど環境を変えることがきっかけになる場合もあります。また、相手が忙しかったり、疲れたりと余裕がない場合もあるので、思いやりはいつも忘れずに。
二人にとって気持ちのいい、心地いいセックスを探るのも大事なことです。『ジャパンセックスサーベイ2020』によると性交時に痛みを感じたことのある女性は62.4%となっており、セックスレスの原因になっている可能性もあります。パートナーの欲望に我慢しながら応えるセックスより、お互いに安心できるセックスを見つけることが、セックスへ前向きな気持ちを生む一歩になるかもしれません。
専門機関に相談するのも一つの方法です。セックスレスを定義した日本性科学会にはカウンセリング室が設けられていて、臨床心理士や看護師が相談にのってくれます(有料)。ほかにもカウンセリングを行なっている婦人科などもあるので一度、調べてみましょう。
参考資料