家族について

家族のかたちにとらわれず
全ての人が安心して暮らせる社会へ。

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「家族のかたち」と聞いて、あなたはどんな家族を思い浮かべますか?お父さんとお母さんがいる家族、お父さんだけの家族、お母さんだけの家族、祖父母と孫の家族、大人だけの家族、子どもだけの家族、お母さんがふたりの家族、お父さんがふたりの家族、養子や里子として家族に迎えられている家族、人種や民族がミックスした家族、離れ離れに暮らしている家族、血縁関係のない人ばかりだけどみんなが「家族」だと認識し合っている家族、ペットも含めての家族。もちろん、今挙げた以外にもたくさんあります。みなさん自身や周囲も含めて、世界には、本当にさまざまな家族のかたちがあるのです。

家族は、一緒に住んでいることが重要だと思いますか?一人暮らしを始めて実家にいる家族と住む場所が違ったり、離れて暮らしているおじいちゃんやおばあちゃんがいたとしても、だからといって家族じゃなくなるわけではないですよね。

現実の家族にはさまざまなかたちがあります。それなのに、家族と聞くと、一緒に住んでいたり、血の繋がりがある関係を思い浮かべてしまいがちです。「家族を描いてください」と言われると、お父さんとお母さん、子どもたちがいる様子を描く人も多いのではないでしょうか。教科書などにも、そうした家族が当たり前に登場することも少なくありません。

問題なのは、それがまるで“スタンダードな家族”、“伝統的な家族”のよう勘違いされ、その他の家族のかたちが例外、普通じゃない、不幸せなどとみなされることです。“伝統的な家族”じゃない家族は、幸せではないのでしょうか?

もし、そう感じたり、伝統的な家族じゃないことに引け目を感じるのだとしたら、それは“伝統的な家族”が普通だと思わされている社会に生きているからです。

たしかに、日本の社会の中では、一人親、特に母子家庭は貧困に陥りやすく、厚生労働省の「平成29年度母子家庭の母及び父子家庭の父の自立支援施策の実施状況」によると、母子世帯は約123万2000世帯、母子家庭の相対的貧困率は54.6%となっています。そのために不幸せだと感じることがあるかもしれませんが、それも、社会の仕組みの問題です。

“男は仕事、女は家を守る”ことを前提とする性別役割分業という考えのもとでは、離婚をしてシングルマザーとなった時に、女性が経済的な自立をすることが難しい現状があります。福祉や保障がより充実していれば、ひとり親の家族が貧困に陥ることはないのです。

同性カップルに育てられる子どもはかわいそうと言われることもありますが、これも「かわいそうだ」と見なしてネガティブなレッテルを貼ったり仲間はずれにしたりするような社会的意識の方が問題なのです。

「こうでなければいけない」という家族のかたちはありません。一緒にいたいと思う人たちが集まった家族あれば、一緒にいたくないと思う家族もあります。以前は一緒にいたくないと思っていたけれど、今は一緒にいたいと思っている家族もあります。いずれにしろ、安心して、助け合いながら、楽しく暮らしていけることが大切なことです。もしそれができなさそうな家族だったら、福祉という制度が助けてくるので、地域の保健師さんなどに相談してみましょう。
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よくある悩み

家族のことが好きになれません

ドラマなどでは理想的な家族の絆が美しく描かれることが多く、自分がその「理想的な家族」に当てはまらないと不安な気持ちになるかもしれません。でも、自分の家族が好きになれないことは、普通のことです。私たちは親を選んで生まれてくることはできないからです。でも、家族と距離をとることはできます。進学や就職に合わせ一人暮らしをしたり、アルバイトをして家にいる時間を減すこともできます。もしも、深刻な問題があれば児童相談所や保健師に相談してみてください。また、時間や環境が変われば関係も感情も変わることもあります。そして、自分自身が多面的であるように、あなたの親・家族も親や家族をやっているだけではなくて、多面的であるということを見ることも大切だったりします。