子宮頸がん/尖圭コンジローマ

セックス経験者の約8割が一度は感染する?
ヒトパピローマウイルスとワクチン接種について知っておきたいこと。

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HPVとは、ヒトパピローマウイルスのこと。長くて覚えづらい名前だけれど、STIの中では一般的なウイルス。性交経験者の約8割が一度は感染するといわれています。
HPVは100種類以上の型がありますが、性感染症として注意すべきなのは、まず、コンジローマの原因であるHPV6または11型です。コンジローマとは性器や肛門など感染した部位にカリフラワー状のイボを作る感染症です。ほとんどの場合、かゆみや痛みなどの症状は出てきません。感染から3週~8カ月(平均3カ月)程度でイボができ、徐々に数も増えてきます。
治療は塗り薬で徐々に小さくする方法と手術でイボを切る方法があります。コンジローマは自覚症状が少なく小さいうちは見つけにくいですが、性器に気になるイボがあれば泌尿器科または産婦人科に相談しましょう。

また、子宮頸がんの原因ウイルスの中でも、特に16型と18型ががんに発展する可能性が高く、そのスピードも速いといわれています。この2つの型が含まれたHPVワクチン(2価ワクチン、さらに2つの型を加えた4価ワクチンも)が小学校6年生から高校1年生までの女子を対象に公費で受けられる定期接種でしたが、積極的推奨を差し控えられていました。2021年11月の専門家会議で、安全性について特段の懸念が認められないことが改めて確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、2022年4月より、他の定期接種と同様に、個別接種の推奨を再開することになりました。
また、2023年4月から、さらにカバー率の高い9価ワクチンが定期接種の対象に。14歳までは半年の接種間隔で2回で完了、15歳からは3回の接種が必要です。
男性がHPVワクチンを接種すると、中咽頭がんや肛門がん、尖圭コンジローマなどの原因とされるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染を防ぐ効果が期待できます。さらに、男性がワクチンを打つことでパートナーへのHPV感染を減らすことができ、その結果として女性の子宮頸がん予防にもつながる可能性があります。
現在、日本で使われているHPVワクチンには「2価」「4価」「9価」の3種類がありますが、男性に接種できるのは「4価ワクチン(商品名:ガーダシル)」だけです。男性への接種はまだ定期接種(公費で受けられる制度)の対象ではないため、費用は自己負担になります。3回の接種が必要で、合計でおよそ5~6万円ほどかかります。


HPVワクチンは100%子宮頸がんを防げるわけではありませんが、国際機関や学会からもその有効性が認められています。 多くの女性がセックスなどで一度はHPVに感染しますが、そのほとんどは、自分の免疫力でウイルスを抑え込むことができます。しかし、約1割の人は感染が持続し、数年~10年程度を経て、子宮頸がんへ進行していくとされています。そのため、定期的に検診を受けていれば、がんになる前の段階で発見されて治療ができるのです。

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よくある悩み

ワクチンに副作用はないの?

副作用の心配は「ゼロ」ではありません。子宮頸がんワクチンの副作用は一時期ニュースでも話題になりましたね。ただ、その報道によって、ワクチン=危険という印象が強く残ったかもしれません。実際にはワクチンによる副作用が起きるケースは非常に稀であること、またその原因が本当にワクチンにあったかどうか不明なこともあります。ワクチンの副作用と同時に、ワクチンを選ばなかった時のリスクについても考える必要があります。どちらがいいとは一概に言えません。正確な知識と情報を得た上で、自分で選択することが重要です。