性交痛

がまんしないで。
知っておきたい性交痛のこと。

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あなたはセックスを苦痛に感じることはありませんか? 体や心に痛みを感じることがあっても、その悩みをパートナーや第三者になかなか相談できなかったり、勇気を出して打ち明けてもうまく相手に伝わらなかった、といった経験があるかもしれません。

セックスのときの痛みや違和感を性交痛と呼びます。ジャパン・セックスサーベイ 2020(ジェクス調べ)によると、なんと女性の 62.4%、男性の 14.0%が「セックスのときに痛みを感じることがある」と回答しています。それくらい性交痛は多くの人に関わる問題です。
本来セックスとは、愛するパートナーと楽しく繋がる時間であり、その時間が苦痛へと変わってしまう性交痛は、QOLや幸福度にも大きく関わる大切なトピックです。

現時点でセックス時にそこまで痛みを感じていない人も、出産やホルモンバランスの変化の影響などにより、将来的に痛みを感じるかもしれません。またパートナーが実は性交痛に悩んでいる可能性もあります。性交痛というものが存在すること、性交痛について基本的な知識を身につけておくことは、どんな人にも必要なことなのです。

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性交痛の主な原因と回避策

大前提として、性交痛があるならば、何よりも無理をしないことが大事です。「セックスはもっと気持ちいいはずで、楽しめない自分はダメだ」「パートナーを満足させられない自分はよくない」などといった考えで自分を責める必要はありません。
痛みを感じる原因はさまざまですが、代表的な原因とその回避策をいくつか紹介します。

〈原因1〉
潤い不足による痛み

腟全体が十分に濡れていない状態で無理に挿入すると、摩擦による痛みに繋がります。不十分な前戯や挿入に対する不安や恐怖心、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌の低下などが、潤い不足の原因になると言われています。

〈回避策〉
不十分な前戯や挿入に対する不安は、パートナーに打ち明けることで改善する場合があります。また「潤滑剤」を使うことも有効な手段のひとつです。
気をつけたいのが男性がマスターベーションに使ったりヌルヌル感をボディ上で楽しむための「アダルトローション」と「潤滑剤」を間違えないこと。「アダルトローション」を潤い不足のときに使ってしまうと、逆に水分が吸収されてさらに乾燥を招いたり腟炎などのトラブルに繋がることも。「潤滑剤」として向いているのは潤滑××/Lubricants(ルブリカンツ)と記載されているもの、もしくは化粧品成分中心のもの。成分が記載されていないものは肌トラブルが起きたとき、何に反応したか特定できないので使用しないことをおすすめします。

なお、ラテックス製コンドームは軟膏などの医薬品、ベビーオイル、マーガリン、ハンドクリームなどの油性物質や揮発性物質に触れると劣化し破れる危険があるため、オイルベースの潤滑剤とラテックス製コンドームの併用は避けましょう。

〈潤滑剤とアダルトローションの違い・見分け方〉

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〈原因2〉
ラテックスアレルギーによる痛み

コンドームを使用すると性交痛があるという場合は、ラテックスアレルギーが原因かもしれません。コンドームを使用したことで赤み、かゆみ、蕁麻疹などの皮膚障害が起きたらラテックスアレルギーの可能性があります。

〈回避策〉
まず内科、皮膚科、アレルギー科など、アレルギー検査ができる医療機関を受診しましょう。またラテックスアレルギーと診断された場合でも、コンドームなしのセックスはおすすめしません。ポリウレタン製やイソプレンラバー製のコンドームを試してみましょう。「また腫れたらどうしよう」などと不安が残るようでしたらセックス自体をお休みすることも大切です。

〈原因3〉
心理的な原因による痛み

身体的な理由だけが性交痛の原因とは限らず、心理的な理由から痛みが出る場合もあります。セックスに対する恐怖心や過緊張、罪悪感、過去の体験などが痛みに繋がることがあるようです。

〈回避策〉
身体的な原因による性交痛ではない場合、心理カウンセリングを受けることで痛みの症状が改善する可能性もあります。「私の性交痛は、もしかして心の問題かな?」と感じるようでしたら、一度カウンセリングを受けてみてもよいかもしれません。

〈原因4〉
婦人科系疾患やがんの手術後による痛み

子宮や卵巣の病気では、卵巣や子宮等の摘出が行われなかったとしても手術や術後の治療による、自分の身体に対するボディイメージの低下による精神的な影響などによりセックスに集中しにくくなり、性交痛に繋がることがあります。

卵巣がんなどで卵巣を摘出すると、年齢が若くても更年期・閉経以降のような潤い不足になり、性交痛が出やすくなります。また、子宮頸がんは病状によっては腟壁を広く切り取ることもあるため術後に腟が短くなります。その結果、術前には痛くなかった深い挿入が術後に痛く感じることもあります。

〈回避策〉
HRT(ホルモン補充療法)やエストロゲンの腟剤・外用薬などを医療機関で処方してもらう、セックスのときは潤滑剤を使用する、パートナーと協力して浅く挿入できる体位でセックスをする、といった対処法があります。

上記以外でも生まれつきの身体の構造上による痛みや外陰部の炎症、性感染症、セックスのテクニカルな問題など性交痛の原因はさまざまです。
セックスのときに痛みが出ることの背景には何らかの婦人科系の病気が隠れている可能性がありますので、ぜひ一度、病院で診てもらうことをおすすめします。

よくある悩み

パートナー(女性)がセックスのとき痛そうですが、男性側としてどうしてあげたらいいのか分かりません

大切なパートナーが痛みに悩んでいることを知って、心配な気持ちが溢れたりセックスをすることが怖くなったりということもあるかもしれません。気づいて、気に留めて、心配したりためらったりできることは素晴らしいことです。まずは気づいて気に留められたことを誇りに思ってください。性交痛は、知識を身に着けてそれを実践することで乗り越えていくことができます。リラックスして、知っていってほしいと思います。

まず何よりも大切なのは無理をしないことです。痛みの原因は様々なものが考えられます。例えば、この記事で紹介した原因のほか、手荒なタッチや激しいピストン運動、早すぎる挿入のタイミング、挿入時の角度の誤り、合わない体位、性器のサイズ問題などがありますし、時には複数の原因が同時に関係していることもあります。

パートナーからどんなときにどこが痛いか、何か不安や心配に思っていることがないかなど、ゆっくり話を聞いてみてください。改善できるヒントが隠れているかも知れません。痛い場所だけでなく、どんなときにどこが気持ちいいかを聞いたり伝えたりして、挿入にこだわらずお互いの気持ちいいことを中心に行動してみると、自然と痛みを回避できる工夫が生まれてくることもあります。