妊娠を望む男女が避妊をせずに1年間セックスをしても妊娠しない状態を「不妊症」と呼びます。 その原因は、男性側にある場合、女性側ある場合、男女両方にある場合などさまざまで、また信頼できる日本のデータもありません。不妊症の原因はひとつではなく複数の因子が重なっていることもあり、原因不明も多いのです。
不妊治療には、4つのステップがあります。
まずは、排卵日に合わせて夫婦生活を持つ「タイミング法」です。 基礎体温や排卵チェッカーで、排卵日を予測しタイミングをとります。それがうまく行かない場合は、排卵誘発剤を服用して、超音波検査で卵胞の大きさをチェックしてタイミングをとる方法へシフトしていきます。
ここで3~6周期行っても妊娠に至らなければ、2つ目の「人工授精(AIH)」へと進みます。 パートナーの精液を洗浄、濃縮し、排卵の時期に子宮内へと入れるというものです。
3~6回を目安にして妊娠に至らなければ、3つ目は、培養液の中で卵子と精子を受精させ、受精した胚を子宮に戻す「体外受精(IVF-ET)」へ進みます。
それでも妊娠に至らなければ、4つ目が「顕微授精(ICSI)」となります。 良好な1つの精子を細い針で卵子へと注入し、顕微鏡下で受精させる方法です。
このように生殖補助医療技術の発達によって、私たちが妊娠する可能性は以前よりも増えました。しかし、それでも妊娠率は決して高くなく、加齢によって妊娠率は下がっていくことを知っておいて欲しいのです。
また、不妊や不妊治療では、家族の期待や高齢出産、お金のことなど、プレッシャーやストレスなどを感じるケースもあると思います。一度、「子どもを持たなければならない」というプレッシャーがどこからくるのかと考えたり、子どもを持つことが当たり前とされている状況を疑ってみてください。そして、子どもを持たない人生を選択すること、自分が産まなくても子育てはできることを知ってください。国によっては里親制度はもっと普通にあることで、親を必要としている子どももたくさんいます。家族の形は多様であり、いろいろな選択肢があるのです。