痴漢

「痴漢大国ニッポン」はもう嫌だ!
痴漢犯罪をなくすには?

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日本の犯罪、痴漢。性暴力被害を告発する#Me Too運動が広がっても、日々おびただしい数の被害者を出している痴漢に対する目立った対策はこれまでされてきませんでした。2022年、女性政策に関する政府の重点方針をまとめた「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022(女性版骨太の方針)」に「痴漢撲滅に向けたパッケージ」として痴漢対策が盛り込まれるなど、痴漢撲滅に向けた取り組みがようやくスタートしつつありますが、現在でも泣き寝入りをする痴漢被害者が後を絶ちません。

この記事では日本における痴漢についての現状、痴漢にあったときの対応、被害者だけでなく周囲の人ができることなどを考えていきます。

女性の4割超、男性の約1割が、電車内・駅構内で痴漢被害にあっている

令和5年12月25日に東京都が公表した、電車内・駅構内における痴漢被害実態把握調査結果によると、女性の4割超、男性の約1割がこれまでに痴漢被害にあったことがあると答えています。被害にあった時間帯は6時~9時が約54%と、朝の通勤・通学時間帯に特に集中していることが分かります。被害にあった時期も、早いと小学生から、また大学生までが7割超と、より抵抗しにくい子ども、若者が狙われています。実際、被害者の4割は被害にあった際に「我慢した・何もできなかった」といいます。一方で目撃者が行動する場合は、痴漢被害の9割以上が止まるとのことです。

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令和5年12月25日東京都 生活文化スポーツ局「痴漢撲滅プロジェクト」痴漢被害実態把握調査結果の公表をもとにSEXOLOGY作成

痴漢は重大な犯罪、性暴力です

あまりに日常的なものになってしまっている痴漢ですが、痴漢は重大な犯罪で、性暴力です。痴漢行為は、行為の内容により各都道府県に定められている迷惑防止条例違反、もしくは不同意わいせつ罪に問われます。「衣服の上から体に触れた」という痴漢は迷惑防止条例違反、「衣服の中に手を入れた」ような暴力性の度合いが強いケースは不同意わいせつ罪に問われる可能性が高いといいます。また、痴漢事件は犯行現場に居合わせた被害者や目撃者によって、現行犯逮捕されるケースが多く、現行犯逮捕の場合は逮捕状は必要ありません。このように、痴漢はれっきとした犯罪です。

痴漢被害者にいっさいの落ち度はありません。「露出度の高い格好をしていたから痴漢に遭っても仕方がない」などと言う人がいるかもしれませんが、それは二次加害です。誰もが好きな服装をする自由があります。被害者の落ち度にフォーカスし、自己責任問題としてすり替える社会にこそ問題があります。このように、レイプしないよう教えられるのではなく、レイプ「されない」よう教えられる文化、加害者より被害者が責められる文化は、レイプカルチャーとも呼ばれます。

痴漢行為を受けた際(性暴力一般に言えることですが)、「抵抗しなかった」と非難する人もいます。しかし、戦ったり逃げたりしたら何をされるかわからないという恐怖を感じると、せめて生き延びられるように、とからだが硬直(フリーズ)するのは人間として、動物として、当然の反応です。また、「犯行時、女性器が濡れていた」として、犯人が「女性は喜んでいた」とか、女性側も「自分は喜んでいたのか?」と悩んでしまうことがあります。しかしこれは、体を守るために膣分泌液が出たに過ぎず、快楽等とは一切関係がありません。つまり、抵抗できなかったことや、膣分泌液が出たことは、痴漢を拒否しなかったという意思表示には絶対にならないのです。

もしも痴漢にあったら

自分が痴漢にあった場合、その場で「やめてください」などと意思表示をすることが難しい場合もあるかと思います。一人ではどうしようもできないときは、例えば電車内であれば周りの人の服を引っ張ってみる、携帯電話で大音量を出してみるなど、周りの注目を集めることは有効です。また警視庁では「防犯アプリ」を無料配布しています。アプリの「痴漢撃退機能」では声を出さなくても画面表示や音声で周囲の人に助けを求めることができます。痴漢抑止バッジを付けておくことが痴漢被害の抑制になることもあります。また、その場で声を上げられなかった場合、性犯罪被害相談電話(ハートさん)「#8103」もしくは警察相談ダイヤル「#9110」で相談することができます。


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痴漢被害にあったとき、「学校に遅刻しそう」などという理由から、警察への被害の届け出や相談を諦めるケースが多くあるといわれています。このため令和5年3月に公表された「痴漢撲滅に向けたパッケージ」では、痴漢被害にあった児童生徒が警察への被害の届け出や通報を行ったことにより学校を遅刻/欠席した場合、そのことによる不利益を被ることのないように適切に対応することを、文部科学省から教育委員会等に要請する、としています。

またここ数年、「痴漢祭り」「痴漢チャンスデー」「痴漢日和」といった、受験生の遅刻できない心理につけ込んだ、受験生を狙った痴漢行為を呼びかけるような投稿がSNSで相次いでいるといいます。この問題に関しても文部科学省は、痴漢の被害にあった場合など、やむを得ない理由により受験機会を失うことのないよう、試験時間の繰り下げや別日程への振替対象とするなど、大学や高校に対して柔軟な対応に努めるよう周知していくとのことです。

傍観者にならないために私たちができること

痴漢撲滅には、周囲の人が傍観者とならず、行動していくこともとても大事なことです。例えば電車内だったら非常通報器を押す、痴漢防止アプリなどを活用して被害者に「痴漢されていませんか?」などの表示を見せる、周囲でおかしい動きをしている人がいたら直接声をかけるなど。できることはいろいろあります。

国土交通省が令和5年に三大都市圏などを中心とした鉄道区間や新幹線全線の防犯カメラ設置を義務付けたり、女性専用車両の導入が広がるなど、痴漢をなくすための社会の取り組みも少しずつ広がっています。自分には関係ない、時間がないなどと見て見ぬふりをせず、被害にあっていそうな人がいたら積極的に行動するという意識を一人ひとりが持つことも、痴漢行為への大きな抑止力となるはずです。