きっと、ほとんどの人がその言葉を耳にし、実際に経験している“思春期”。それは、私たちの体と心が大人になる時期のこと。人それぞれに違うので年齢では区切れないものですが、WHOによると10〜19歳くらいの間に起こる変化をいいます。また、思春期に起こる変化は一度に起こって終わるというものではなく、段階的に発生し、そのスピードも個人差があります。そう、それぞれが自分のペースで迎えるものなのです。
思春期の間、私たちの体や心にはさまざまな変化が起こり、それは、脳から指令を受けたホルモンによって引き起こされるのです。ちなみにホルモンとは、体内の内分泌器官や特別な細胞から分泌される情報を伝える特殊な化学物質で、標的となる細胞に特定のことをするよう命令する働きを担います。
体の変化については、男女それぞれの項目を見てもらうとして、ここでは、気持ちの変化について掘り下げていきましょう。
私たちの心身が成長するに従って、自分のいる環境や、親や友達などとの人間関係、そして社会に対する認識の変化が起こるようになります。それによって、なんだかモヤモヤしたり、気分が不安定になったり、周りに反抗したくなったり。でもそれは、大人に成長する確かな過程なのです。
また、エッチな夢や妄想が起こってくるのも当然のこと。ホルモンが出てくる思春期の特徴のひとつです。男性、女性、またはその両方に魅力を感じることがあっても普通のこと(もちろんそういった魅力を感じないこともあります)。
モヤモヤしたり、気持ちが不安定になった時は、そうした思春期に起きるからだや心の変化についての不安や悩みを、仲のいい友だちと一緒に話してみてはどうでしょうか。あなたと同じ悩みを持っている人がいることだってあるでしょうし、不安や悩みが起こる理由がわかれば、自分の変化とも上手く付き合っていけるようになるかもしれません。
大切なことは、自分のからだやこころの変化は成長の一過程だということです。
からだについての不安や心配なことも、仲のいい友だちと一緒に話してみれば、けっこう同じ悩みを持っているかも知れません。それがどうして起こるのかについて、科学的に理解すれば、不安な気持ちも和らぐし、そうした自分の変化とうまく付き合うこともできるはずです。
心の面では、自分のモヤモヤや不安、怒りや悲しみがどこから来るのか、掘り下げてみてもいいかもしれません。人間関係や社会の在り方についても考え、それを言葉で表し、友だちや周囲の人たちと共有していくことが大切なことなのです。
そして、つらくてどうしようもないときは、周囲に助けを求めることです。信頼できる誰かを見つけ、その人に頼ることができることも、生きていく上で重要な力なのです。