男性育休について

「男性育休」は当たり前の権利。
より有意義な時間にするためには?

birth paternity leave for men 0
昔は女性が取るものというイメージが強かった育休ですが、今は男性が育休を取ることは法律で認められた立派な権利です。2022年10月には「産後パパ育休」が導入され、男性の育休取得をさらに後押しする制度が追加されました。この記事では、男性育休について詳しく解説するとともに、育休期間をより有意義な時間にするための課題について考えます。

そもそも育休とは?

育児休業、いわゆる「育休」は、子どもが生まれた後、一定期間仕事を休んで育児に専念できる制度です。日本では、男女ともに法律で育休を取得する権利が認められています。男性が育休を取ることは特別なことではなく、ごく当たり前の権利なのです。

  • 日本の法律: 育児・介護休業法により、男性も女性も育休を取得できる。
  • 取得可能な期間: 子どもが1歳になるまで(場合によっては最長2歳まで延長可能)。
  • 給付金: 育児休業給付金と出生時育児休業給付金の支給額は、いずれも賃金額面の67%(手取りで8割相当)です。2025年4月から改正雇用保険法が施行され、新たに「出生後休業支援給付金」が創設されます。育児休業給付金と出生後休業支援給付金を合わせて受給すると、最大28日間は賃金額面の80%(手取りで10割相当)の給付金を受給できるようになります。

育休は子どもの成長をじっくり見守れたり家族の絆が深まることはもちろん、これまで仕事中心だった人が仕事と家庭のバランスを見直すなど、価値観が変わることもあるといいます。育休は単なる休みではなく、自分の人生や家族との関係を見つめ直す大切な時間ともいえます。

日本における男性育休の歴史

日本における男性育休は、1992年に「育児休業法」(現:育児・介護休業法)が施行されたことから始まりました。当初は取得できる対象者が限られており、男性が育休を取るケースはごくわずかでした。

  • 1992年: 「育児休業法」施行。育休取得の権利が法的に認められる。ただし男性の取得率は低く、ほとんど浸透しませんでした。
  • 2001年: 「育児・介護休業法」に改正され、制度が拡充されました。
  • 2010年: 男性の育休取得を促進するための「パパ・ママ育休プラス」が導入され、両親が育休を取ることで期間が延長される仕組みが整いました。
  • 2021年: さらなる改正で、企業に対して従業員へ育休取得を促す努力義務が設けられました。
  • 2022年: 「産後パパ育休」が導入され、男性の育休取得をさらに後押しする制度が追加されました。

新制度「産後パパ育休(出生時育児休業)」の導入

2022年10月から、新たに「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設されました。これは、子どもの出生直後の期間に父親が柔軟に育休を取得できる制度です。

  • 対象期間: 子どもの出生後8週間以内
  • 取得可能期間: 最大4週間
  • 分割取得が可能: 2回まで分けて取得することができます。
  • 柔軟な働き方: 事業主との合意があれば、育休中に一部働くことも可能です。
  • 給付金: 通常の育児休業給付金と同様に、休業期間中の収入の一部が支給されます。

この新制度は、男性がより育児に参加しやすい環境を整えるために導入されました。特に産後の母親の負担軽減や、家族全体で育児に向き合うサポートが期待されています。

出典:厚生労働省「出生時育児休業制度(産後パパ育休)について」

産後パパ育休制度導入の影響もあり、男性の育休取得率は以下のように少しずつ上昇しています。

  • 2020年: 15.8%
  • 2021年: 18.9%
  • 2022年: 24.2%
  • 2023年: 37.9%

出典:令和5年度雇用均等基本調査 -厚生労働省

このような制度改正や社会の意識改革により、男性育休は徐々に浸透しつつありますが、女性(87.6%)と比較すれば依然として低い取得率です。また、数字上は育休取得率は上がっていますが、取得日数が少ないという問題もあります。背景には職場の理解不足(上司や同僚の理解が得られず、育休を取りにくい雰囲気がある)、経済的な不安(育児休業給付金が支給されるものの、収入が減ることへの不安がある)、「男性は仕事優先」という考え方(古い価値観が根強く、男性が育休を取ることに対する偏見)などが考えられます。

ある大手企業では育休を1カ月以上取得すると周囲の同僚社員に賞与で還元する仕組みを導入するなど、規模が大きい企業ほど取得率が高い傾向が確認されています。中小企業でも取得率は向上していますが、今後は企業規模に関わらず、どんな人も当たり前の制度として取得できるようになることが理想です。

男性が育休を取ることで社会や個人に与える影響

男性が育休を取ることには社会にとってさまざまな良いことがあります。

1.家族にとって良いこと
男性が育休を取ることで、パートナーと育児を分担し、負担を減らすことができます。一緒に頑張ることで、お互いの理解や信頼も深まります。信頼感のある家族関係の中で、子どもは安心感を持ちやすくなります。

2. 社会にとって良いこと
男性が育休を取ることは、ジェンダーバイアスの解消にもつながります。「育児は女性がするもの」という古い考え方を変え、男性も育児に関わるのが当たり前という社会を作る一歩になります。また男性が育休を取ることが当たり前になると、企業も柔軟な働き方を考えるようになります。結果として、誰もが働きやすい環境が整い、仕事と家庭を両立しやすくなります。さらに男性も育児に参加しやすい社会になれば、出産や子育てへの不安が減り、少子化対策にもつながると期待されています。

3. 父親自身にとって良いこと
育休を取ることで、その成長を間近で見守り、子どもとの絆を深めることができます。また育児には時間管理、計画力、柔軟性が求められます。仕事だけでは身につかないスキルを、育児を通じて身につけることができます。

「取るだけ育休」を減らすためにこれから必要なこととは?

性別問わず育休を取ることは特別なことではなく、法律で認められた権利です。しかし全く準備なく育休に突入し、かえってギクシャクしてしまう家庭もあり、男性の育休が終わってホッとするママも実は多くいるといいます。

その背景には、新生児育児について学ぶ機会が少なく、少子化の今、自分が子どもを持つ前に家庭で新生児育児を体験できる人も限られているという現実があります。妊娠したあとのスケジュールは意外に忙しく、産後の準備は育児用品を購入するのが精いっぱい、生活全体を見据えた計画ができないこともあります。一部では、出産準備クラスで産後のリアルを劇にした「産後劇」を参加者に見てもらい、その後参加者同士で「産後の備え」について情報交換をする取り組み事例もあります。このような楽しい学びの機会が広がっていくこともこれからの課題です。

企業側、労働者側の双方が積極的に男性育休を促進するだけでなく、取得前に体験者の話を聞くなど十分な新生児育児の情報を得る、家事も並行して行うイメージ持つなど、しっかりと準備をしてから育休に入ることも、貴重な育休期間を充実させるために大事なことです。