LGBTQ+

誰もが知っておくべき、
LGBTQ+の歴史。そしてSOGIEへ。

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「LGBTQ+」とは、さまざまなセクシュアル・マイノリティ(=性的少数者)の連帯をあらわす言葉です。

私たちの性には、自分の性別をどのように認識しているかというジェンダー・アイデンティティ(性同一性/性自認)、生まれたときに割り当てられた体の性や戸籍の性、自分が好きになる恋愛対象としての性(セクシュアル・オリエンテーション)、自分がどんな社会的性別を表現しているのか(性表現)などの要素があります。その組み合わせにより自分のセクシュアリティが形作られますが、人のセクシュアリティは多様性に富んでいます。多くの人がシスジェンダーで異性愛(ヘテロセクシュアル)ですが、少数(2~10%)の人は異なるセクシュアリティです。

LGBTQ+とは、マイノリティ(少数派)であるセクシュアリティを表す下記の言葉の頭文字をとったものです。
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L=レズビアン
女性の同性愛者。ジェンダー・アイデンティティが女性で、女性を好きになる人のこと。

G=ゲイ
男性の同性愛者。ジェンダー・アイデンティティが男性で、男性を好きになる人のこと。

B=バイセクシュアル
両性愛者。男性を好きになることもあれば、女性を好きになることもある。

T=トランスジェンダー
出生時に割り当てられた性別とは異なる性別で生きる人のこと。

Q=クエスチョニング、クィア
クエスチョニングは自分の性がわからない人、意図的に決めていない人、決めかねている人、模索中である人などのこと。クィアはもともと「変態」などととても差別的に使われる言葉でしたが、人権獲得運動の中でそれを逆手にとって、性の社会的規範を問い直すものとしてポジティブに使うようになった言葉です。

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さらにさまざまなセクシュアリティがあるということ。

このLGBTQ+という言葉が誕生するまでには、知っておくべき歴史があります。1960年代、今よりももっとセクシュアル・マイノリティが差別を受けていた時代には、多数派から名付けられた「病気」や「逸脱」としてのセクシュアル・マイノリティを示す言葉しかありませんでした。

しかし、セクシュアル・マイノリティの人たちが自分たちの性にまつわる権利を求める運動の中で、自分たちが主体的に「陽気な」などの意味をもつ「ゲイ」と名乗り始めました。最初はさまざまなセクシュアル・マイノリティを示す言葉でしたが、その中の差異を大切にするためにレズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーといった名前も登場してきました。

そして、1990年代にLGBTという言葉が誕生します。これは、エイズ問題を発端に、それぞれの差異を大切にしながらも「一緒に活動をしよう」と、手を取り合ったことがきっかけでした。そう、LGBTとは、4者の連帯を表しているのです。

そして今、LGBTQ+と表現をするのは、セクシュアル・マイノリティは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの4つに限らないからです。

ほかにも、同性も異性も関係なく他者に対して恋愛感情も性的な欲求も持たない 「ア(エイ)セクシュアル」 、ジェンダー・アイデンティティが男性でも女性でもない 「Xジェンダー」 をはじめ、人のセクシュアリティの差異と多様性についての意識が広がっています。LGBTQ+と表現することは、LGBT以外のセクシュアル・マイノリティも無視しないということ、そしてさまざまセクシュアル・マイノリティが差異を大切にしながら連帯して差別をなくしていこうという思いを示すことにつながっています。

セクシュアリティは、ここには書ききれないくらい多く存在し、自分に当てはまる言葉がない人がいても決して変なことではありません。そもそも、名前のついたセクシュアリティに自分を当てはめる必要もありません。当てはめたほうが心地いい人は当てはめればいいし、当てはめないほうが心地いい人は当てはめなくていい。生きる中で変化することだってあります。私たちの社会には、いまでも、「男性は女性が好き、女性は男性が好き」という異性愛を中心とする考えや、生まれたときに割り当てられた性別のまま生きていく状態(シスジェンダー)を“あたりまえ”とか“普通”とする考えが浸透しています。この社会を形成する人の性のありかたはそれぞれ違うということを、知っておくことが大切です。

最近では、SOGIEという言葉も使われるようになりました。
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SO=SexualOrientation(性的指向)
GI=GenderIdentity(性同一性/性自認)
GE=GenderExpression(性表現)
の頭文字をとったもので、読み方は「ソジー/ソジイー」が一般的です(「ソギ」ともいう)。

LGBTQ+をめぐる社会的差別について語るときに、「LGBTQ+の問題(支援や配慮)」という言い方では、この社会の中ですでに特権を持っている多数派の人たちを「普通」としたまま、LGBTQ+の人たちを再度特殊化してしまうことになります。この性的指向、性自認、性表現という言葉は、セクシュアル・マイノリティに限らない概念です。そのため、SOGIEという言葉を使うことで、異性愛者や、シスジェンダーの人を「ふつう」ではなく、多様なセクシュアリティの一つにすぎないと位置づけ直すことになります。

すべてのセクシュアリティの人たちが安心して生活できる社会をつくるためには、こういった考え方が必要となります。
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よくある悩み

同性カップルやトランスジェンダーでも子どもは持てますか?

現在の日本で、同性カップルで子どもを育てている人は実際にいます。以前に付き合っていた異性の人との子どもを今は同性カップルで育てていたり、他者から卵子や精子を提供してもらって体外受精で子どもをもうけたり、パートナーの片方が養子を迎えたり、2人で里子を育てたり。日本ではまだ同性同士の婚姻が制度化されていないので、同性カップルが同時に1人の子どもの親権を持つことはできません。トランスジェンダーとシスジェンダーのカップルで戸籍上異性同士ならば、婚姻をして一人の子どもの親権を共に持つことができます。世界では同性婚が制度化されている国はたくさんあり、年々増えています。それに伴って社会のあり方も性の多様性を尊重する雰囲気に変わってきています。例えばネットフリックスの海外ドラマでも、登場人物の両親が女性同士や男性同士であったりすることがあくまで「普通のこと」として描かれています。これは現実の社会状況を反映させたものでもあります。