日本のパートナーシップ制度

日本のパートナーシップ制度の現在地。

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同性カップルを公的に証明するパートナーシップ制度。パートナーシップ制度は2015年11月に東京都の渋谷区と世田谷区が初めて導入して以来、全国に広がり、2022年7月には200を超えるさまざまな市区町村や都道府県で導入が進んでいます。人口あたりでいうと50%を超えています。

パートナーシップ制度とは

パートナーシップ制度とは、同性同士の婚姻が法的に認められていない日本で、証明書を発行するなどして行政が同性カップルなどを証明することにより、さまざまなサービスや社会的配慮を受けやすくする仕組みのこと。法的拘束力はないものの、家族として公営住宅の入居が認められる、職場の福利厚生制度を利用できる、生命保険の受け取りにパートナーを指定することができる、民間の家族割などを受けられるといった、異性婚カップルと同等の取り扱いを受けられるようになります。

ただ、自治体によって制度の対象となる人や範囲に違いがあります。例えば渋谷区は区内在住で戸籍上同性のカップルに限られますが、国立市は双方の性別、性的指向、性自認を問わず、戸籍上異性のカップルも利用でき、また在住者だけでなく在学・在勤者も含むといったように、制度内容にバラつきがあります。なお、自分が住んでいる地域がパートナーシップを導入してるかどうかは、こちらのサイトで確認することができます。


同性婚との違いは?

パートナーシップ制度は結婚とは異なり、登録しても法律上の配偶者ではないため、税制上の優遇措置は適用外で、法的相続人になることもできません。子どもの親権を共同で持つこともできません。カップルの一方が外国籍だった場合に配偶者としての在留資格も得られません。遺族年金ももらえません。なお、病院で同性パートナーが面会や医師から話を聞くことなどは、各施設によって異なります。このほかにもさまざまな状況で同性カップルが不利になるケースが多いことが現状です。

世界では2001年、オランダで初めて同性同士の結婚が実現し、2022年7月時点ではヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアなど、31の国・地域で同性婚が可能になっています。

東京都パートナーシップ宣誓制度が
2022年11月から運用開始へ

同性カップルなど性的マイノリティの人たちがパートナーシップ関係にあることを公的に証明する「東京都パートナーシップ宣誓制度」を盛り込んだ改正人権尊重条例が2022年6月15日、東京都議会で全会一致で可決されました。東京都は10月11日から届け出の受付を始め、11月1日から運用が開始されます。11月からはパートナーシップ宣誓をしたカップルは都営住宅に入居申し込みが可能となり、また証明書を都民サービスの利用に活用できるように検討を進めています。アウティング(本人の意志に反して性のあり方を第三者に暴露してしまうこと)を防止するため、手続きは原則オンラインで実施されます。

都内ではすでに12市区にパートナーシップ制度があるため、先行する市区との連携、調整を含めてどのような仕組みにするのかが注目されており、また人口の多い東京都が加わることで、パートナーシップ制度の法整備や同性婚の実現に向けたステップになるという期待の声も出ています。

性自認や性的指向の多様性は人間が本来持っているもの。既成概念にとらわれた旧来の家族像に縛られることなく、多様な家族が存在することが当たり前の世の中になっていくことが、成熟した社会作りに必要ではないでしょうか。こうした社会作りのために、性差別的な戸籍制度に基づいた婚姻制度ではなく、パートナーシップ制度やファミリーシップ制度(同居する子どもを家族として認める制度)が可能性を開くきっかけになるはずです。

よくある悩み

パートナーシップ制度の有効期限はあるの?

自治体によって異なり、永年の場合もあれば、10年や30年の場合もあります。また、登録した自治体を離れる場合は証明書や受領書を返却する必要のある制度が多いです。ただ近年はパートナーシップ制度の相互利用連携が広まってきているため、そのまま使い続けることが可能なケースも増えてきています。