カミングアウト

カミングアウトをする。される。
その時のために知ってほしいこと。

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あなたは、自分に関する大事なことを、誰に、どんなタイミングで、何のために話しますか?

よく、自分の思っていることを打ち明ける時に、「カミングアウト(=coming out)する」という言葉を使いますよね。もともとこの言葉は、公にしていなかった自分の性的指向やセクシュアリティを肯定し、他人に話し、相手との関係をよりよいものに変えていくことを指しています。秘密の告白や、罪の懺悔なんかではありません。

「カミングアウト=coming out」は、英語の「coming out of the closet」の短縮形として使われるようになりました。「the closet」とは服などを収納するクローゼットのこと。クローゼットにいるということは、社会からの抑圧のために、自分の性的指向やセクシュアリティを隠し、異性愛者のふりをしなければならない状態のこと。異性愛が前提である今の社会では、クローゼットに入っていないと嫌がらせを受けたり、不当な扱いをされることも少なくありません。カミングアウトができずにいる人もたくさんいます。でも、そんな社会って、どう思いますか?

もし今、カミングアウトをしたいと考えている人は、あらためて自分のセクシュアリティに向き合ってみましょう。 “自分が一体何者なのか”という問いに対して、不自然がなく、心地いいと感じる答えを見つけることは、人生の幸福度にもつながる重要なこと。時間をかけてもかまいません。その作業を終えてからカミングアウトをしましょう。あなたが見つけた大事な答えを誰かに伝えた時、どんな反応が返ってくるか、不安を感じる人もいると思います。「これまでの関係性が変わってしまうかも…」と怖くなるかもしれません。実際、自分が思っていたよりも、ポジティブでない反応が返ってくるケースもあるということは、頭に入れておく必要があります。だからこそ、最初に話す相手は信頼できる人を選んだり、自分を助けてくれるグループを見つけておくことが大切です。言いたいことをしっかり伝えられるよう、思いをメモに書いておくのも有効。もちろん、無理は禁物ですから、自分にとっていいタイミングでおこなってください。
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また、“周りの人からカミングアウトをされたら、どうしよう”と思う人もいるでしょう。でも、カミングアウトの本当の意味を知れば、どうすればいいかわかるはず。あなたが自分の大事なことを話した時、どんなふうにしてほしいか、考えればいいのですから。

そして、相手が何を必要としているかを尋ねてみてください。サポートを必要としている人もいれば、何もせず、ただ耳を傾けて話を聞いてほしいと思っている人もいるでしょう。これまでと変わらない、いつも通りの接し方をしてほしいと思っているかもしれません。また、わからないこと、知りたいことがあったら相手に質問してみるのもいいでしょう。その際に、答えたくないことは答えなくてもいいということを頭に入れておきましょう。相手にとって失礼な質問だった場合は、ごめんなさいと謝りましょう。プライバシーにかかわることですので、お互いに相手の気持ちを尊重しましょう。

そして絶対にしてはいけないことが、本人の許可を得ずに、勝手に第三者にその人のセクシュアリティを暴露する「アウティング」です。 された方に大きな苦痛をもたらすものであり、恐怖を感じる行為です。自分に置き換えて想像してみてください。傷つくことは容易に想像できると思います。

もしカミングアウトをした/受けたなら、これまで誰に言ってあるのか(誰が知っているのか)、これから誰に言ってもいいのかをお互いに確認し合いましょう。また、カミングアウトを受けた人が、自分一人ではどうしていいかわからず、誰かに相談したいと思ったときは、秘密厳守を約束する電話相談やカウンセラーに個人が特定されない形で話してみるといいかもしれません。
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カミングアウトは、一回話しただけで相手が深く理解したり、関係が良くなったりするとは限りません。カミングアウトとは、最初だけではなくその後のいろいろな機会にお互いに話し合ったりして、理解を深めてくという、継続的な行為なんです。 お互い焦らずにじっくりと良い関係をつくっていきましょう。
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