男性と女性では、その性格や役割が違うと思いますか。あなたの周囲では、どんなことが男性の役割で、どんなことが女性の役割だと考えられていますか。あなた自身は、男らしさや女らしさを求められたことがありますか。それは具体的にどんなことでしたか。
こうした性別に基づく役割や、求められる「らしさ」は、その国の文化や歴史、所属する社会によって異なります。たとえば、かつて女性職とされていた看護師、保育士、CAの仕事に就く男性も増えています。日本では男性の世界となっている政治ですが、多くの国で女性の首相が誕生しています。
このような社会の中でつくられてきた性別による違いを「ジェンダー」といいます。
この違いは、社会、文化、宗教、政治、経済、教育といったあらゆる面で見ることができます。私たちはこうしたジェンダーに基づく規範に、生まれたときから強く影響を受けていますから、知らず知らずのうちに身につけています。 それは家族の中の価値観だったり、 学校でも男女平等のように見えて、男子と女子の区別がされていたりします。
こうしたことをあまり気にしたことがない人も多いかもしれませんが、逆に、ジェンダー規範を重苦しく感じている人もいるかもしれません。「女性は料理ができてあたりまえ」とか、「男性は強くなければならない」といった思い込みは、人にそれらの価値観を押しつけ、行動や生き方を縛るものにもなります。つまり、誰かの生き方を制限したり、生きづらくしたりすることがあるということです。
でも、これらのジェンダー規範は、国や時代によって異なることからもわかるように、その社会の中で作られたものですから、変えることもできます。もし、ジェンダー規範が、あなたや誰かの生き方を抑圧するのであれば、そのことについて考える必要があるし、それに挑戦することは素晴らしいこと。なぜなら、人の生き方は、性別によって差別されたり、制限されたりしてはならないからです。
現在、ジェンダーは、国際的にはあらゆる立法や政策をつくる際に必要な視点となっています。ジェンダーは人権課題の中核にあり、性別による差別や不公平を乗り越えることは、国際的な課題でもあるのです。